★オーディオ奮戦記★

40cmウッドホーンを中心とした4wayマルチシステム

クロス周波数的考察と聞きやすい音(調整その12)

前回の調整で出過ぎていると感じていた低域をスリム化していた。その低域の調整を完成させた総合特性を見ると中低域に対して特に金管楽器のきらめきに重要な4k~8kHzがやや低めであり、実際に何曲か聞いてみると、やはり中低域に負けるような雰囲気があった。

また、フラット化した低域も出てはいるのだが、パンチが足らないという感じがしたので、少しイジってみると、70~80Hzが少し勝っているような特性にした方が好みの音に近づくことが判った。


これを参考にしながら再調整。

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Nov.12-No.03 and Nov.14-No.01_比較
低域は二コブ化し、4k~13kHz付近を少しupさせた。

各ユニット別のデータを見ると、中域の950BP+40cmホーンは、ホーンの特性と950BPの高域はあまり伸びない性格が端的に見られている。高域のクロスオーバーは5kHz以上については設定を変化させても殆ど変化しない。以前、2.5kHz付近から1インチスロートのED-911+18cmホーンを入れた4way(SWを加えると5way)にしていたのはこの理由からだった。

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Band 特性

高域の4540nd+12cmホーンは、クロスポイントを14kHzという高い周波数に設定しているにも係わらず、この特性。実質のクロスはなんと4kHzという低い位置になってしまっている。

4540nd単体では、1.2kHzから使用できるとされているが、使用している12cmホーンにより傾向としては、クロスポイントを下げると4k~10kHzが持ち上がり山のようになり、逆に10kHz以上が12dB/octの様に減衰してしまう。この点では、PioneerのリボンツィータのPT-R7の方が、クロスポイントを8.5kHzより高く設定すると20kHzを超える周波数までフラットに再生できるので、適している様に思われる。

ウーファーとして使用しているAXIOM 301は、元々ダブルコーンタイプのフルレンジで、納品されたときに測定したフルレンジの特性:

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AXIOM 301
特徴としては、70~100Hzに緩い山、230Hz付近に顕著なディップ、そして600Hz付近を頂天として300~2kHzに大きな山があり、10kHz以上は殆ど鳴らない、などが読める。

また、以前使用していた径は同じAXIOM 201とこの301を同じ条件で測定し比較したデータをWoody&Allenさんのところで採ってくれたので、それも参考にすると、

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AXIOM 201 and AXIOM 301
やはり240Hz付近に顕著なディップと6k~12kHz付近に山、そして600~3kHz辺りに緩い山が感じられる。この傾向はAXIOM 201にも見られることから明らかにこのユニットの特徴らしい。なお、301の方が300~2kHzが201よりも5dBほどレベルが高い事も判る。

これらから、MidのHPFを500Hzに設定する場合、301のLPFの設定も500Hzにすると、実際のクロスポイントが大幅に高い周波数にズレる事が想定される。
実際、10月16日の時点で301のLPFが450Hz、950のHPFが530Hzの特性は、

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AXIOM 301_LPF450Hz+950PB_HPF530Hz
で、クロスポイントは650Hz付近と高い方にズレているし、3dB落ちだと750Hz付近に、また6dB落ちだとすると850Hz付近と大幅にズレていることが判る。(共に12dB/oct)なお、一見素直な特性のようにも思えるが、この時点ではアライメントが合っていなかったので実際的では無かった。

上から2つ目の特性図により、Low(AXIOM 301)とMid(950PB+40cmホーン)のクロスポイントは、450Hz付近でほぼ理想的。LowのLPFを375Hzと下げ、24dB/octにして、600Hzを頂天とする山を押さえ込んだ成果と思われる。

Lowの下側とSWとの関係は、SWをLowの後面開放のBOXの片側後方に設置したことにより、位相は、Lowの逆相にしているが、振動板位置が約480mm後方にズレていることで理想的な特性になっては現れていない。
これは、原因が分からないのだが、Low単体の特性グラフと総合特性がほぼ同じという不思議な現れ方になってしまっている。

PA+でクロス設定やDelay設定をしているときには、301単体の特性グラフは、上の3つ目、4つ目、5つ目と同じようなカーブと表示されているのだが、テスト信号を入れて測定すると2つ目のグラフのようになってしまう。

Waveletも測定したが、300Hz~20kHzで見ているため、SWの影響が見られない。

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2020/11/14 時点最終

なお、クロスオーバー構成は、以下の通り。

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クロスオーバー構成(2020/Nov/14)
Delayデータの単位は、secは誤りで、正しくは、msecです。