★オーディオ奮戦記★

40cmウッドホーンを中心とした4wayマルチシステム

SHM-CD

ー 2009/01/04 ー

2008年後半より盛んに話題になっている高音質 CD。盤の材料を変えることによって音質アップを図ったというものだった。この中で注目したのは SHM-CD (Super High Material CD)である。

理由は、「Material」という言葉である。材料に係わる、特にプラスチック関連材料は自分に少なからず関係がある。だから特に気になったというわけ。

さて、この SHM-CDを含む高音質 CDは、SACD程ではないが通常のCDよりお値段が高いし、まだソースも少ない。試してみたい気もするが、同じ演奏者で同じ時期の録音がないと正しい比較には成らない。ましてやこれらの新しい盤が目立つように加工されている可能性もあるので、単純には比較できない事も考えられる。

もう一つには、AMP修理工房に行ったメジャグランのチャンデバの修理代がいくら掛かるかの連絡がずーっと無かったので、財布のひもをゆるめられなかった事により、新しい CDを買うことが出来なかったのも理由だった。

暮れになりチャンデバの概算が示されたのと、新規導入した SACDプレーヤーの支払が1月から、ってことで12月は少し余裕が出来た・・・

そこでいつも頼んでいる HMVを覗いていたら、SHM-CDを試すには丁度良い CDセットを見つけた。それは「体験サンプラー」というもので、Jazzシリーズと Classicシリーズがあり、
「噂の高品質CDを手軽に体験!! クラシックの名曲・名演を11曲収録!同じマスターからプレスした通常CDとの比較もできる!!」といううたい文句のあるものだった。

サンプラーだから、気に入れば通常の盤を買えば良い訳で、しかもセットあたり 1000円なので気に入らなくても「まーいいか」ということ。

12月28日には届いたが、とにかくまずは、
1.新しい SACDプレーヤーをセットすること、
2.Accuphaseのチャンデバが到着次第、セットしてサブシステムを聴けるようにすること
が先だったので、結局サンプラーを聴き始めたのは昨日の夜からだった。

最初に「Jazz Edition 1」を聴く。

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Jazz Edition
実はこれは、No.2で購入したのはNo.1。写真の撮り忘れ。

この時のシステムは、新しくAccuphaseのチャンデバを導入し、オールマルチ化(7ch)したサブシステムを使った。

SHM-CDを CDP-X5000にセット。
曲は、コルトレーンの1962年11月13日録音、SJのGディスクになったものだ。

最初の印象は、低域がしっかりしている、全体に立体感がある、ということだった。

次に通常 CDを DCD-1650AEにセット。1650AEでは AL24プロセッサーが働く。

印象は、悪くない~。SHM-CDよりもややゆったりしている、というか、上品な感じ。

プリのミューティングが働くため瞬時に切換とは成らないが X5000と 1650AEを切換ながら注意深く聴くと、SHM-CDの方が近い、というか、狭い会場でややON状態で聴いているような感じで、CDの方が、より広い会場で聴いているような感じであることが判った。そして私は CDの方の鳴り方のほうが好みである。

では我が家のリファレンスとしているメインシステムではどうであろうか。

CDプレーヤーは、Marantz SA-11S2を使用。
曲は、ヘレン・メリルの「What's New」を使用。1954年12月の録音で、これも SJの Gディスクになったものである。

傾向はサブシステムと同じであるが、SHM-CDは子音がややきつい。また無音時にシーといったようなノイズが乗る傾向がある。2分40秒あたりで tp が鳴り出すがその時の tp と b のバランスは SHM-CDの b の方がレベルが高い。同時にその傾向は、やはり狭い会場で聴いているようなバランスである。

CDの低域はレベル的にやや抑え気味というだけできっちりと出てはいる。我が家の DS-10000でそうなのであるから 15インチウーファーを使用しているシステムなら全く問題にならない気がする。

あと SHM-CDでは、他の曲、たとえば 6曲目のエリナー・リグビー/ウェス・モンゴメリーでは低域のバランスが全体に強すぎると感じた。

サブシステムに戻して、X5000に CDをかけると確かに低域が少なくなる。しかし子音が気になることはなくなって聞きやすくなる。1650AEに SHM-CDをかけると低域は程よく抑えらた。しかしストリングスが目立つ場所ではややきつく感じられた。

X5000と CDの組合せは、ある意味では慣れ親しんだという雰囲気で、なにか落ち着く。SHM-CDに換えると確かに低域がアップして、ONステージになる。が、ソロ楽器などは前に出すぎ、って感じがして落ち着かない。同時に前には出てくるが、奥行き感がほとんど無くなる。前に出てくるからボーカルなどでは息づかいがよく分かるけど、「だからどうなの」って感じになって、疲れる。

1650AEの方では、それらの傾向が少しマイルドになる感じで聞きやすくなる。

これらから Jazzで、我が家のシステムでは CDで十分。より高価な SHM-CDは必要なし、という結論に達した。もしよりハイレベルを狙うなら SACDにすれば良い。

SHM-CDが生きるとしたら、小さなSPシステムで聴く、とかデスクトップで再生するとかいった場合には、かなり効果があると思う。ただその場合、この値段では買う人も少ないのではないか、と思った。